遺産分割の手続

被相続人の遺産を分割するためには、どのようにして手続を進めればよいのでしょうか。

ここでは、遺産分割の具体的な手続の進め方について、説明します。

遺産分割の事前準備

遺産分割の事前準備として、まず、

  1. 遺言があるか
  2. 誰が相続人であるか
  3. 遺産は何があるか

の3つを調査する必要があります。

①遺言の調査

遺言がある場合には、原則として遺言の内容に従って遺産を分割することになります。そのため、遺産分割を行う前に、まず、遺言がないかを調査する必要があります。

遺言の探し方としては、公証役場に問い合わせをしたり、重要書類が保管されていそうな場所を総当たりに調べたり、事情を知っている親族・知人がいないかを尋ねたりすることになります。

なお、遺言が封印されている場合には、開封する前に、家庭裁判所で検認という手続きを受ける必要があります。検認を受けずに開封すると、過料が課されたり、遺言書の偽造や変造を疑われてしまう可能性があるため、注意が必要です。

②相続人の調査

相続人を調査するためには、故人の出生から死亡まで、全ての戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など)を取得して確認する必要があります。

相続人の調査を怠り、後で相続人に漏れがあることが発覚したような場合には、遺産分割が無効となってしまうので注意が必要です。

調査の際に取得した戸籍は、調停の申し立てや、預金の払い戻し、不動産の名義変更などの手続きの際にも必要となります。

③遺産の調査

遺産の調査としては、故人が所有していた預貯金や不動産、有価証券、保険、自動車など、全ての財産を明らかにし、その価額を算出する必要があります。

また、借金も相続の対象となりますので、借金の調査も必要となります。

借金が多く、相続しても損にしかならないような場合には、相続放棄を検討することになります。なお、相続放棄をする場合、原則として、故人の死亡を知った日から3か月以内に裁判所に申し立てる必要があるため、注意が必要です。

遺産分割の手続

遺産分割の事前準備が終わったら、実際に、相続人同士で遺産分割を行うことになります。

遺産分割の手続には、大きく分けて、

  1. 協議による分割
  2. 調停による分割
  3. 審判による分割

の3つがあります。

①協議による分割

相続人と遺産の内容が確認できたら、相続人全員で、遺産をどのように分割するか話し合いを行います。

遺言がある場合には、原則として遺言の内容に従って分割することになります。ただし、相続人全員の合意があれば、遺言の内容とは異なった内容で分割することも可能です。

遺言がない場合には、相続人の話し合いによって、どの財産を誰が取得するかを決めることになります。この際、一般的には、法律で定められた相続分(法定相続分)に従って相続する額を決めることになりますが、相続人全員の合意があれば、法定相続分と異なった分割をしたり、誰か一人にすべての遺産を相続させたりすることも可能です。

当事者間での話し合いがまとまらず、協議による分割ができない場合、家庭裁判所に調停・審判を申し立てる必要があります。

②調停による分割

調停とは、裁判所で、裁判官と調停委員が間に入って話し合いを行うことで、紛争の解決を図る制度です。

調停委員という一定の知識経験を有する委員が、各相続人から交代で話を聞き、遺産をどのように分割するかについて、法的見解も踏まえて調整し、時には説得をすることで、紛争の解決を目指します。

調停の中で相続人全員が納得し、合意することができれば、調停成立となります。

調停もあくまで相続人の合意によって決められるため、協議による分割と同様に、法定相続分と異なった分割をしたり、誰か一人にすべての遺産を相続させたりすることも可能です。

調停では全員が合意することが出来なかった場合には、調停不成立となり、審判に移行することになります。

③審判による分割

審判とは、調停でも話がまとまらない場合などに、裁判所が最も妥当だと考える遺産分割の方法を決めてもらう手続きです。

各相続人の主張内容や証拠に基づいて、裁判所が、どの遺産を誰に取得させるかを決定することになります。また、場合によっては、裁判官が各相続人から直接事情を聴取する、審問という手続がとられることもあります。

審判では、基本的に、法律に従って、各相続人の取り分が決められることになります。

遺産分割の手続に悩まれたら弁護士にご相談ください

遺産分割の手続きは、ご自身で進めて頂くことも可能です。

しかし、いったん紛争化してしまうと、自分に有利になるよう立ち回るためには、豊富な法律知識や、主張・交渉するスキルが必要となります。

弊事務所では遺産分割に関する初回相談は無料でお受けしておりますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。

また、まだ紛争にはなっていないけれども、ご自身で手続きを進めるのが心配だと言う方のご相談も受け付けております。

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