借金が膨らみ、返済が困難な状況にある場合には、任意整理によって返済の見通しを立てることができる可能性があります。
ここでは、任意整理のメリットや任意整理を利用できる条件、任意整理をおすすめするケース、任意整理のデメリット・注意点などについて説明します。
このページの目次
任意整理とは
任意整理とは、貸金業者との交渉により、今後の利息のカットや分割払いについての合意を得て、可能な範囲での返済を続けて借金を完済する手続きです。
また、これまでの取引を利息制限法の上限金利で再計算することで、借金を減額できたり、過払い金を請求してお金を取り戻すことができる場合もあります。
任意整理の具体的な手続きの流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。
任意整理のメリット
今後の利息をカットし、借金返済の見通しを立てることができる
借金に悩まれている方は、月々の支払いのほとんどが利息にあてられており、元本がほとんど減っていない状況の方も珍しくありません。完済の目処が立たないまま、いつのまにか借金額が増えてしまっている方もいるかもしれません。
任意整理で今後の利息をカットすることができれば、月々の支払いを元本の返済に充てることができ、借金返済の見通しを立てることができます。また、今後の利息の分、返済の総額も減ることになりますから、完済までの期間を短くすることができます。
借金を減額できることがある
利息制限法の上限を超えた金利で取引していた場合、これまでの取引を上限金利で再計算することで、借金を減額できます。(※1)
また、返済を滞納しており利息が膨らんでいるような場合には、貸金業者との交渉によって、既に発生している利息をカットしてもらえることもあります。
※1 再計算の結果、借金を返済しすぎていたような場合には、過払い金を請求してお金を取り戻すこともできます。
対象とする借金を選ぶことができる
自己破産や個人再生の場合には、基本的にすべての借金を対象とする必要があります。
そのため、例えば親戚や知人からの借金や、自動車のローン、保証人がついている借金だけを対象から除外するということができません。
任意整理であれば、全ての借金を対象とする必要はなく、対象とする借金を自由に選ぶことができるため、柔軟な債務整理が可能になります。
任意整理を利用できる条件
安定した収入の見込みがあること
任意整理は、数年間にわたり分割して借金を返済する手続きですから、、まず原則として、今後も安定した収入の見込みがあることが必要です。
なお、生活保護受給者の方は、生活保護費を借金の返済にあてることはできないため、任意整理を利用することはできません。
借金の元本を3~5年で返済できる見込みがあること
任意整理をすると、業者や取引状況にもよりますが、借金をおよそ3~5年(36~60回)の分割で支払うことになります。
そのため、借金の額を36~60回で割った金額が、1か月あたりのおよその返済額となります。
急な出費に備える必要もあるため、月々の収入から生活費を差し引いた後、ある程度の余裕をもってこの返済額を確保できることが必要になります。
もし、これらの条件を満たさず、任意整理を利用できない場合には、自己破産や個人再生による借金の整理を検討する必要があります。
任意整理をおすすめするケース
月々の返済額を減らしたい場合
任意整理によって、借金を3~5年の分割払いとすることで、月々の返済額を減らすことができます。
また、発生するはずであった今後の利息をカットすることで、返済の総額も大幅に減らすことが期待できます。
手元に残したい資産の額が、借金の額を上回っている場合
自己破産の場合、20万円以上の財産は原則として手放す必要があり、現預金も合計で99万円しか残すことができません。また、個人再生の場合、手元に残す資産の額と同額以上の借金を返済する必要があります。
そのため、手元に残したい資産の額が借金の額を上回っている場合には、自己破産や個人再生をすることができません。
このような場合には、任意整理による借金の整理を検討する必要があります。
保証人に迷惑をかけたくない場合
自己破産や個人再生の場合には、基本的にすべての借金を対象とする必要があります。
そのため、借金の一部に保証人がついている場合に自己破産や個人再生を行うと、保証人が請求を受けることになります。
任意整理であれば対象とする借金を自由に選ぶことができるため、保証人がついている借金を除いて任意整理をすることで、保証人に迷惑をかけずに借金を整理することができます。
自動車や住宅のローンが残っている場合
自己破産や個人再生の場合には、基本的にすべての借金を対象とする必要があるため、自動車や住宅のローンも対象になります。
そのため、自動車や住宅のローンが残っている場合に自己破産や個人再生を行うと、原則として、自動車や住宅は手放す必要があります。(※2)
任意整理であれば対象とする借金を自由に選ぶことができるため、自動車や住宅のローンを除いて任意整理をすることで、自動車や住宅を手元に残したまま借金を整理することができます。
※2 住宅ローンが残っている場合、一定の条件を満たせば、個人再生によっても住宅を手元に残せる場合があります。
家族や勤務先に知られずに解決したい場合
自己破産や個人再生の場合にも、家族や勤務先に知られず手続きを行える可能性はあります。
ただし、これらの手続の場合、同居の家族の通帳や給与明細を提出してもらったり、勤務先に退職金の見込み額に関する書類などを作成してもらう必要があります。そのため、家族や勤務先から怪しまれ、債務整理をしていることを知られる可能性が否定できません。
任意整理であれば、このような書類は必要ありませんので、自己破産や個人再生と比べて、家族や職場に知られる可能性がより低くなると言えるでしょう。
任意整理のデメリット・注意点
ブラックリストに登録される
任意整理をした場合、自身の信用情報に、弁護士が介入したことが事故情報として記載されることになります。
記載される期間は、信用情報機関によって異なりますが、返済完了からおよそ5年とされています。
この事故情報が記載されることを、一般的にブラックリストに登録されると言います。
ブラックリストに登録されている間は、新規のローンやクレジットカードの申し込みをしても、審査に通らない可能性が高くなります。
状況によっては条件が厳しくなることがある
自己破産や個人再生と異なり、任意整理は裁判外の手続のため強制力がありません。そのため,債権者が合意してくれなければ,手続きを行うことができません。
そのため、状況によっては条件が厳しくなり、希望の条件で任意整理をすることができない場合があります。
例えば、取引期間が極端に短い場合や全く返済していない場合など、取引の状況によっては、債権者の対応も厳しくなり、分割回数を少なくしたり,利息を付けなければ合意してもらえないこともあります。
すべての業者が交渉に応じてくれるわけではない
任意整理をするためには債権者が合意をしてくれる必要がありますが、一部の金融業者には、はじめから任意整理に応じてくれないところもあります。
このような場合には、それ以外の債権者に対して任意整理をすることで返済計画をたてたり、自己破産や個人再生によって借金の整理を検討したりする必要があります。
借金の保証人が請求を受ける
保証人がついている借金について任意整理をすると、保証人が請求を受けることになります。
そのため、保証人の返済能力次第では、保証人の方も一緒に債務整理手続を行うなどの対処が必要になります。
借金問題にお悩みの方は弁護士にご相談ください
債務整理の方法には任意整理以外にも個人再生・自己破産がありますが、この中でどの手続きを取るべきか判断するためには、各手続きのメリットデメリットを踏まえて総合的に判断する必要があります。
幣事務所では、借金問題に関する初回相談は無料でお受けしております。借金の額、収入の額、財産の有無、保証人との関係、その他ご本人の希望内容等のご事情を踏まえて、より適切な手続きをご案内させていただきます。
実際にご相談いただいた方からは、「もっと早く相談すれば良かった」とのお声を多くいただいております。お悩みの方はお気軽にご相談ください。