【解決事例】骨粗鬆症を理由とする素因減額の主張を退け、賠償額が約300万円から約650万円に

本件は、追突事故で腰椎を圧迫骨折した80代の男性が、加害者側保険会社から「骨粗鬆症」「既存の圧迫骨折」を理由とする素因減額(被害者が事故前から持っていた体質や疾患を理由に賠償額を減らすという考え方)を主張された事例です。

判例の精査と医学的知見に基づく反論を尽くした結果、保険会社の素因減額の主張を全面的に撤回させ、保険会社からの賠償額は当初提示額の約2倍となる約650万円で示談に至りました。先行して受領済みの自賠責保険金約200万円とあわせると、依頼者が受け取った補償額の合計は約850万円となりました。


🔍 依頼者の状況

  • 依頼者: 鈴木太郎さん(仮名)・80代男性
  • 当事者関係: 追突事故の被害者(停車中の追突)
  • 主な争点: ①素因減額の可否(骨粗鬆症・既存の腰椎圧迫骨折)、②慰謝料の減額幅

鈴木さん(仮名)は、信号待ちで停車中に後方から追突され、腰椎の圧迫骨折を負われました。長期入院と通院を余儀なくされ、最終的に後遺障害等級12級13号(後に残った神経症状について、自賠責保険上「比較的重い部類」とされる等級のひとつ)が認定され、自賠責保険から約200万円の保険金を受領していました。

その上で、加害者側の任意保険会社から提示された追加の賠償額は約300万円にとどまりました。しかも、保険会社は「ご高齢で骨粗鬆症がある」「胸椎・腰椎に以前からの圧迫骨折が複数ある」ことを理由に素因減額を主張し、さらに「示談である以上、慰謝料は裁判基準の8割が相場」とも主張してきました。

「年齢を理由に賠償が大幅に削られるのはおかしいのではないか」とのご相談を受け、当事務所で受任することになりました。


⚖ 当事務所の対応

① 損害項目の再精査と裁判基準による再計算

まず、保険会社が提示してきた損害計算書を一項目ずつ検討し直し、入院雑費・通院付添費・休業損害・傷害慰謝料・後遺障害慰謝料などについて、裁判基準(裁判所で用いられる賠償額算定の基準で、保険会社が当初提示する額より高くなるのが通常)で計算し直しました。これにより、保険会社提示額との差額が大きいことを明確化した上で交渉を開始しました。

② 「慰謝料は裁判基準の8割が相場」との主張への反論

保険会社は、ある元裁判官の講演録を引用し「示談での解決であれば慰謝料は裁判基準の8割が妥当」と主張してきました。

これに対し、当事務所では当該講演録の全文を精査し、その元裁判官が本来述べていた趣旨は 「保険会社が裁判外で提示する6割という低水準は論外であり、最低でも8割は支払うべきだ」 という、保険会社の不誠実な交渉姿勢を批判するものであることを指摘しました。すなわち「8割」は減額の上限ではなく支払うべき下限を示したものに過ぎず、保険会社の主張は文脈を切り取って解釈を歪曲したものだと書面で詳細に反論しました。

③ 「骨粗鬆症」を理由とする素因減額への反論

保険会社は、診断書に骨粗鬆症の記載があることを根拠に2割の素因減額を主張しました。

これに対し、当事務所では 「骨粗鬆症は80代男性の相当割合が罹患する年齢相応の生理的変化に過ぎず、加害者に全額賠償させることが公平を失するような『疾患』には当たらない」 という反論を、医学的知見と裁判例を引用して展開しました。

④ 「既存の圧迫骨折」を理由とする追加主張への反論

ところが保険会社は、骨粗鬆症の主張を取り下げる代わりに、今度は「自賠責の認定上、被害者の腰椎に多数の既存障害が認められる」ことを根拠に、別の角度から素因減額を主張してきました。

当事務所では、自賠責保険における 「加重障害」(もともと後遺障害があった人に新たな後遺障害が加わった場合の自賠責保険金支払いを調整するための行政的・形式的なルール)と、民事上の 「素因減額」 とは別制度であることを明確に指摘しました。本件で賠償の対象となっているのは、既存の変形障害ではなく、「本件事故が唯一の原因で発生した新たな腰椎圧迫骨折」と「それによって生じた新たな痛み」 であること、そして自賠責の認定理由書自体が「事故後から生じた症状」と明記していることを示し、論点のすり替えに過ぎないと反論しました。


💡 解決結果

最終的に、保険会社は素因減額の主張を全面的に撤回し、後遺障害慰謝料についても裁判基準どおりの支払いを認めました。傷害慰謝料についてのみ、早期解決のため裁判基準の95%への減額に当方が応じる形で示談が成立し、保険会社からの最終的な追加賠償額は約650万円(当初提示額の約2.16倍)となりました。

既に受領済みの自賠責保険金約200万円とあわせると、依頼者が受け取った補償額の合計は約850万円にのぼり、当初提示水準(自賠責とあわせて約500万円)から大幅に増額する解決となりました。


💬 弁護士からのアドバイス

高齢の被害者の場合、保険会社から「骨粗鬆症がある」「既往症がある」「歳を考えれば回復は早かったはず」といった理由で素因減額を主張されることが少なくありません。しかし、裁判例の蓄積によれば、年齢相応の生理的変化(加齢性の骨密度低下や軽度の脊椎変形など)は法的に「疾患」とは評価されず、素因減額の対象にはならないのが原則です。

また、保険会社は元裁判官の発言や裁判例の一部を切り取って、依頼者に不利な方向で主張してくることがあります。こうした主張には、その引用元の全文を精査し、文脈に照らした正しい解釈を示すことで反論することが極めて重要です。

ご高齢の方の交通事故では、「年齢のせいで賠償額が安くなるのは仕方ない」と諦めてしまわれるケースもありますが、法的に争う余地は十分にあります。提示額に納得がいかない場合、弁護士にご相談いただくことで賠償額が大きく増額する可能性があります。


📞 このような方はぜひご相談ください

  • 高齢の家族が交通事故に遭い、骨折等の重い怪我を負った方
  • 保険会社から「骨粗鬆症」「既存障害」を理由に賠償額の減額を提示されている方
  • 後遺障害等級は認定されたが、保険会社からの提示額が妥当か判断がつかない方
  • 「示談だから裁判基準の8割しか払えない」と保険会社に言われ、納得できない方

大東法律事務所では、交通事故に関する初回のご相談は無料となっております。交通事故の賠償額・後遺障害でお悩みの方は、今すぐご相談ください。

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