本件は、長年のギャンブルが原因で多額の借金を抱え、自己破産を申し立てた後にも一度ギャンブルが再発してしまった依頼者について、誠実な経過報告と生活再建計画の積み上げによって裁量免責を獲得した事例です。「ギャンブルが原因だと自己破産しても免責は無理ではないか」と諦めかけている方にこそ知っていただきたいケースです。
このページの目次
🔍 依頼者の状況
- 依頼者: 鈴木翔太さん(仮名)/大阪府にお住まいの30代男性
- 借金の原因: 長年のギャンブル(パチンコ・公営競技等)による多額の消費者金融債務
- 主な争点: 免責不許可事由(破産法上、借金を法的に帳消しにできないとされる事情のこと。ギャンブルや浪費による借金がこれに該当します)が認められる中で、それでも裁判所の裁量で免責を認めてもらえるか
鈴木さん(仮名)は20代の頃から少額のギャンブルを楽しむ程度でしたが、正社員として収入が安定してからは賭ける金額が大きくなり、給料だけでは足りずに消費者金融からの借入が始まりました。当初は給料日に返済できる範囲でしたが、徐々にギャンブルへの執着が強まり、限度額いっぱいまで借りては別の業者から借りる「自転車操業」状態に陥り、最終的に複数社にわたる多額の債務を抱えることとなりました。
「ギャンブルが原因の借金は自己破産しても免責が認められないと聞いた」という強い不安を抱えながら、大東法律事務所にご相談に来られました。
⚖ 当事務所の対応
① まずは依頼者の負担が小さい「同時廃止」での申立てに挑戦
ご相談を受けた当初、当事務所では同時廃止(破産者に処分すべき財産がない場合に、破産手続開始と同時に手続を終わらせる簡易な方式)での申立てに挑戦する方針を立てました。同時廃止は、少額管財事件(裁判所が選任した破産管財人が調査を行う、より丁寧な方式)と比べて、
- 裁判所への引継予納金(破産管財人の報酬等にあてる積立金)の負担がほとんどない
- 手続にかかる期間が短く済む
- 破産管財人との面談や事情聴取の負担がない
といった点で、依頼者本人にかかる経済的・心理的な負担が大きく軽減される手続だからです。
借金の原因にギャンブルが含まれる場合でも、その経緯や金額、現在の生活再建状況などの事情を丁寧に説明することで、同時廃止での処理が認められる可能性はゼロではありません。鈴木さん(仮名)の生活再建を最優先に考え、まずは同時廃止での申立てにチャレンジしました。
② 裁判所判断による管財事件への移行と、引継予納金の積立計画
しかし裁判所は、本件の事情を踏まえ、破産管財人による調査が必要との判断を示し、少額管財事件への移行が決まりました。これに伴い、依頼者は破産管財人への引継予納金として21万6,000円を裁判所に納める必要が生じました。
依頼者の手元資金には余裕がなかったため、毎月分割での積立を裁判所に認めてもらう方針とし、積立計画を立てて手続を進めました。同時に、当事務所では裁量免責(不許可事由があっても、反省や生活再建の状況を踏まえて裁判官の判断で免責を認める運用)を見据え、破産管財人および裁判所に対し依頼者の生活実態と再建意欲を伝える材料を継続的に提出していく方針を固めました。
③ 申立て後の「ギャンブル再発」に対する誠実な対応
ところが、引継予納金の積立期間中、依頼者が転職後のストレスから再度ギャンブルに手を出してしまうという事態が発生しました。これは免責判断に致命的な影響を及ぼしかねない出来事です。
当事務所では事実を一切隠さず、すぐに裁判所宛に上申書を提出し、以下を正直に報告しました。
- ギャンブルにより当月の生活費を費消してしまったこと
- これに伴う新たな借入は一切行っていないこと
- 本人がギャンブル依存症の自覚を持ち、医療機関での治療・カウンセリングを受ける意思を持っていること
- 通帳・キャッシュカードはご家族に管理してもらい、現金をできるだけ持たずチャージ式の電子マネーで生活する等、物理的にギャンブルできない環境を整えること
- 積立予納金の残額についての具体的な支払計画
あわせて、本人直筆の反省文と家計収支表、生活再建案を提出し、依頼者本人が事態を直視していることを記録として残しました。
④ 月次での積立報告と家計収支表の継続提出
その後は、毎月の積立状況報告書と家計収支表を裁判所・破産管財人に継続的に提出し続けました。家計収支表ではギャンブル関連支出が完全にゼロとなった月を積み重ね、生活再建が着実に進んでいる事実を客観的な数字で示し続けたことが、最終的な裁量免責の判断にあたって大きな材料となりました。
💡 解決結果
最終的に裁判所は異時廃止決定(破産手続中に財団が手続費用に不足することが判明した場合に手続を終了する決定)と免責許可決定を同日付で出し、依頼者は数百万円規模の借金について法的支払義務から完全に解放されました。免責不許可事由にあたるギャンブル債務であり、しかも申立後に一度再発があったにもかかわらず、裁量免責を勝ち取ることができた、難易度の高い案件でした。
💬 弁護士からのアドバイス
「ギャンブルやFX・浪費が原因だから自己破産しても無駄」と諦めている方が非常に多いのですが、これは正確ではありません。確かにこれらは破産法上の免責不許可事由に該当しますが、実務上は裁判所の裁量免責で救済されるケースが数多くあります。
裁量免責を獲得するために最も重要なのは、次の3点です。
1. 隠さず正直に申告すること:ギャンブル支出を家計収支表で正確に記載し、過去の経緯も正面から説明することが、裁判所の信頼を得る出発点になります。
2. 生活再建の実体を作ること:通帳のご家族による管理、依存症治療の受診、現金を持たない仕組みなど、再発防止のための具体的な行動を積み重ね、数字(家計収支表)で示します。
3. 裁判所・破産管財人との情報共有を継続すること:月次の積立状況報告書や家計収支表を通じて、生活再建が進んでいる事実を客観的な数字で示し続けることが、裁量免責の判断材料になります。
申立て後に一度ギャンブルが再発してしまったとしても、ただちに免責不許可になるわけではなく、その後の対応次第で十分に挽回可能です。諦めずに弁護士に相談していただくことが、生活再建への一番の近道です。
📞 このような方はぜひご相談ください
- ギャンブル・パチンコ・公営競技・FXなどが原因で借金が膨らみ、自己破産を諦めかけている方
- 自己破産の申立てを考えているが「免責が認められるか不安」という方
- 一度ギャンブルや浪費で失敗した経験があり、本気で生活を立て直したい方
- 消費者金融からの借入で「自転車操業」状態になってしまっている方
大東法律事務所では、債務整理に関する初回のご相談は無料となっております。
ギャンブルが原因の借金でお悩みの方も、決して一人で抱え込まず、まずはお話をお聞かせください。
