大切な方を事故で亡くされた方へ

大切なご家族を交通事故で亡くされた場合、ご遺族の方のご心痛は察するに余りあります。

そのような中でも、相手の保険会社からは示談の連絡が来ますし、賠償金の話し合いも進めていかねばなりません。

また、保険会社は独自の基準を用いて賠償額を算定しますが、適正な賠償額と比べるとかなり低い金額となっていることがほとんどです。

遺されたご家族がこれからも生活していくためにも、保険会社からは適正な賠償額を支払ってもらう必要があります。

ここでは、死亡事故の損害賠償は誰が請求できるのか、どのような内容を請求できるのかについて説明します。

死亡事故の損害賠償は相続人が請求できる

死亡事故以外の交通事故では、ご家族やご親族などの相続人が、損害賠償を請求することができます。

死亡事故の損害賠償請求権は、被害者の方の権利として、相続の対象となるためです。

一般的に、相続人となるのは配偶者(妻・夫)と子どもです。

子どもがいない場合には親、親もいない場合には兄弟姉妹が、順番で相続人となります。

死亡事故で相続人が請求できる損害賠償

死亡慰謝料

死亡慰謝料とは、被害者の方が亡くなられたことによる精神的な苦痛に対する賠償を言います。

裁判実務上では、死亡慰謝料は被害者本人の慰謝料と遺族の慰謝料を合算した金額として取り扱われています。

死亡慰謝料の算定方法

死亡慰謝料は、家庭内での被害者の方の立場に応じて、以下の金額を基準とすると定められています。

一家の支柱の場合2700万円~3100万円
一家の支柱に準ずる場合2400万円~2700万円
その他の場合2000万円~2500万円

保険会社の提示する死亡慰謝料額

これに対して、保険会社の基準の場合、上記より1000万円以上も低くなるケースも少なくありません。

同じ一家の支柱の方が死亡した場合でも、保険会社の基準によれば1500万円程度しか支払われないということもあります。

逸失利益

逸失利益とは、被害者の方が亡くなられたことで、本来であれば将来労働によって得られたはずの利益が失われてしまったことに対する補償を言います。

逸失利益の算定方法

逸失利益は、具体的には次の計算式によって算定されます。

 「一年あたりの基礎収入」×「1-生活控除率」×「労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」


一年あたりの基礎収入

一年あたりの基礎収入は、事故前の直近1年間の収入をいいます。

基礎収入は、被害者の職業などに応じて、次のように算定します。

給与所得者源泉徴収票に記載される年収額を用います。
自営業者確定申告の額を用います。
確定申告をしていない場合には、領収書や帳簿などで収入額を証明する必要があります。
主婦賃金センサスの女性・全年齢の平均賃金を用います。
パートなどをしている場合、平均賃金額と年収額との高い方の金額を用います。
幼児・学生賃金センサスの男女別・全年齢の平均賃金を用います。
大学生や、大学進学の可能性が高い場合には、大卒の平均賃金額で算定される可能性もあります。


生活控除率

生活費控除率とは、収入の中で生活費が占める割合をいいます。

交通事故によって死亡すると、収入が得られなくなる一方で、本来かかるはずであった生活費がかからなくなることになります。

そのため死亡事故による逸失利益の算定では、収入から被害者本人が必要としたであろう生活費相当額が控除されます。

生活控除率は、基本的に、以下の割合と定められています。

男性(独身、幼児等を含む)50%
女性(主婦、独身、幼児等を含む)30%
一家の支柱30~40%

但し、不動産賃料収入や、利子や配当所得、年金等の収入がある場合や、養育費を支払っている場合、親の生活費を援助している場合、夫婦共働きの場合などは、上記の割合から修正を受けることになります。


労働能力喪失期間

労働能力喪失期間とは、死亡によって労働能力が失われる期間を言います。

社会人の場合、原則として、死亡日から67歳を迎えるまでの期間になります。

例えば、35歳の人が後遺障害を負った場合、労働能力喪失期間は 

67歳-35歳=32年間 となります。

幼児・学生の場合や高齢者の場合は、次のように計算することになります。

幼児・学生の場合67歳-18歳=49年
大学生の場合(大学進学が確実な高校生を含む)67歳-22歳=45年
高齢者の場合平均寿命の2分の1


ライプニッツ係数

ライプニッツ係数(中間利息控除)とは、将来受け取るはずの金銭を、前倒しで受けとることによる利益を控除するために使う指数です。

逸失利益は、将来にわたって長期的に発生するものですが、交通事故による損害賠償は、前倒しにして一括で支払われるため、その分の利息を控除した金額が支払われることになります。

令和2年4月1日の民法改正により法定利息が変更されたことに伴い、適用されるライプニッツ係数も変更されることになりました。

そのため、令和2年4月1日より前に発生した交通事故については年利5%のライプニッツ係数が、令和2年4月1日以降に発生した交通事故については年利3%のライプニッツ係数が適用されます。


期間
(年)
ライプニッツ係数
期間
(年)
ライプニッツ係数
令和2年4月1日より前に発生した交通事故 令和2年4月1日以降に発生した交通事故 令和2年4月1日より前に発生した交通事故 令和2年4月1日以降に発生した交通事故
1 0.952 0.971 21 12.821 15.415
2 1.859 1.913 22 13.163 15.937
3 2.723 2.829 23 13.489 16.444
4 3.546 3.717 24 13.799 16.936
5 4.329 4.58 25 14.094 17.413
6 5.076 5.417 26 14.375 17.877
7 5.786 6.23 27 14.643 18.327
8 6.463 7.02 28 14.898 18.764
9 7.108 7.786 29 15.141 19.188
10 7.722 8.53 30 15.372 19.6
11 8.306 9.253 31 15.593 20
12 8.863 9.954 32 15.803 20.389
13 9.394 10.635 33 16.003 20.766
14 9.899 11.296 34 16.193 21.132
15 10.38 11.938 35 16.374 21.487
16 10.838 12.561 36 16.547 21.832
17 11.274 13.166 37 16.711 22.167
18 11.69 13.754 38 16.868 22.492
19 12.085 14.324 39 17.017 22.808
20 12.462 14.877 40 17.159 23.115


保険会社が提示する逸失利益

保険会社も、一年あたりの基礎収入、生活控除率、労働能力喪失期間をもとに、逸失利益を計算します。

ただし、保険会社は、一年あたりの基礎収入を低めに見積もったり、生活控除率を本来の基準より低めに見積もったり、労働能力喪失期間を期間制限したりして、逸失利益の金額を適正な額より低く算出していることが多いです。

また、被害者の方が高齢者の場合や無職の場合には、具体的な事情を考慮せずに、逸失利益を認めないと主張してくることもあります。


葬儀関係費

通夜、告別式、裁断、埋葬などに要した費用について、最大150万円までを請求することができます。


その他の費用

被害者が亡くなられるまでの間にかかった治療関係費、付添看護費、入院雑費も請求することができます。


死亡事故でお困りの方は弁護士にご相談ください

このように、ご家族の方が死亡事故に遭われた場合でも、保険会社は直ちに適正な賠償をしてくれるわけではありません。適正な賠償を受けるためには、適切に交渉をしなければなりません。

また、弁護士が示談交渉に対応すると、賠償金の計算基準が裁判基準に沿ったものとなるので、保険会社の提示した額から大幅に増額される事例も珍しくありません。

幣事務所では、交通事故に遭われた被害者の方の初回相談は無料でお受けしております。お困りの方はお気軽にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0364340717 問い合わせバナー 事務所概要・交通アクセス