交際相手から既婚の事実を隠され、独身だと信じて肉体関係を持った場合、相手はあなたの「貞操権」、つまり性的関係にかかわる権利を侵害した恐れがあります。
貞操権の侵害は不法行為に当たりますので、慰謝料請求が可能です。
しかし、交際相手に慰謝料請求をするのであれば、貞操権の侵害の事実がわかる「証拠」が必要です。
十分な証拠がなければ、どんなに相手が悪質でも慰謝料請求が認められない可能性があります。
証拠がないときのデメリットや、どのような証拠を集めるべきかについて説明します。
このページの目次
証拠がないとどうなるか
貞操権の侵害の事実がわかる証拠が確保できなかった場合、相手が、
- 既婚者であると伝えていたと主張する
- 肉体関係をもったことはないと主張する
- 結婚の話をしたことはないと主張する
といった行動に出る可能性があります。
まず、貞操権侵害は、「あなたを騙して未婚だと思い込ませて肉体関係を結ぶ」ことによって成立しますので、「既婚者であると伝えていた」ことになると不法行為が成立しなくなってしまいます。
そればかりか、この主張が通るとあなたは相手が既婚と承知の上で交際していたことになるので、相手の配偶者から不貞慰謝料請求をされる恐れさえあるのです。
続いて、相手が「肉体関係はない」と主張する可能性もあります。貞操権は性的関係にかかる権利ですから、性交渉がなければそもそも侵害が成立しません。
そして「結婚の話をしたことがない」という主張も考えられます。貞操権侵害は「結婚をほのめかして性交渉を求める」ことによって発生しますので、このように主張されると慰謝料請求が難しくなります。
貞操権侵害の慰謝料請求で集めるべき証拠
相手に上記のような言い逃れをさせずよって、スムーズに慰謝料請求の手続きを進めるためには、十分な証拠を準備しておく必要があります。
貞操権侵害の慰謝料請求における有効な証拠として、大きく分けて以下の3つがあります。
- 性交渉をしたとわかる証拠
- 相手から独身だと言われた証拠
- 相手から結婚をほのめかされた証拠
1:性交渉をしたとわかる証拠
相手と肉体関係を持ったあとに、その事実をうかがわせるようなメッセージのやり取りをしていれば、証拠となります(メールやLINEなど)。
その他、性交渉をしたことがわかる会話をした録音データや録画データも証拠となります。
直接的な証拠でなくても、ホテルや旅行に行った時の領収書やクレジットカードの利用明細なども、複数あわせることで証拠となる場合があります。
2:相手から独身だと言われた証拠
LINEやメールなどメッセージで、「自分は独身だ」「彼女(彼氏)が欲しい」「いつか結婚したい」などと告げられていた場合、それが証拠になります。
また、結婚相談所や婚活アプリ、婚活パーティーで知り合ったことがわかる証拠も有効です。これらのサービスは、結婚したいと考えている未婚の方が利用するものです。これらのサービスを利用していた時点で、相手は未婚だと嘘を吐いていたと判断できます。
3:相手から結婚をほのめかされた証拠
相手から送られてきたメッセージのなかに、「結婚」をほのめかしたものがあれば証拠となります。
直接的に「結婚しよう」と言われているものだけでなく、「マイホームは○○に買いたいな」「子供は○人ほしいな」など間接的なものであっても証拠となり得ます。
その他、結婚式場の予約や下見をしていたことがわかる資料、新婚旅行の予定を立てていたことが分かる資料、結婚を前提に紹介されていた両親や友人の証言なども証拠となります。
貞操権侵害で慰謝料請求をお考えなら弁護士へご相談ください
弊所では、貞操権侵害で慰謝料請求をしようと考えておられる方からのご相談を受け付けております。
貞操権侵害の慰謝料請求では、相手が言い逃れをしないように有効な証拠を集めておく必要があります。
弁護士にご相談いただけたら、どのような証拠が有効かをアドバイス可能です。
初回相談料は無料です。どうぞお気軽にご相談ください。