【解決事例】音信不通だった兄との遺産分割|調停申立てを機に協議が成立し、母を介護した弟が約450万円を取得した事例

本件は、10年以上音信不通だった兄を相手に、遺産分割調停の申立てをきっかけとして話し合いのテーブルを作り、協議による解決に至った事例です。
母親の介護を一人で担ってきた依頼者が、約500万円の預金を単独で取得し、兄へ支払う代償金を約50万円にとどめる内容で合意することができました。


🔍 依頼者の状況

  • 依頼者: 山田直樹さん(仮名・50代)
  • 相続関係 / 当事者関係: 依頼者(二男)と、その兄(長男)の2名が相続人
  • 主な争点: 音信不通の相続人との遺産分割の進め方、介護を担ってきたことの評価(寄与分)、借地上の空き家の処分

大阪府にお住まいの山田直樹さん(仮名)は、お母様を亡くされました。お母様は足が不自由になり、亡くなる直前までの約5年間、山田さんが在宅での介護を続けてこられました。

一方、お兄様は10年以上前に家を出たきり音信不通で、お父様が亡くなったときも、お母様の介護にも、まったく関わっていませんでした。山田さんはお兄様の住所だけは分かっていたため、ご自身で手紙を送ってみましたが、返事はありませんでした。

「相続の手続きを進めたいのに、兄と連絡が取れない」「母の面倒を見てきたのは自分なのに、何もしなかった兄と同じ扱いになるのか」——そうした行き詰まりを抱えて、当事務所にご相談に来られました。


⚖ 当事務所の対応

① 通知が届かない相手に対し、手続の土俵を作った

受任後、まずお兄様宛てに受任通知を送付しましたが、受け取られないまま返送されてしまいました。再送しても状況は変わりません。

任意の話し合いに応じる姿勢が見られない以上、当事務所は遺産分割調停(裁判所の調停委員を交えて相続人同士の話し合いを進める手続)の申立てに踏み切りました。
裁判所からの呼出しであれば、当事者は手続を無視しにくくなります。連絡が取れないこと自体を理由に手続を止めるのではなく、話し合いの土俵を強制的に作りにいく判断です。

② 不動産の名義を調査し、父母2件の相続として組み立て直した

ご相談時、ご実家の建物はお母様の名義だと考えられていました。しかし登記の調査を行ったところ、建物は約14年前に亡くなったお父様の名義のままであることが判明しました。

つまり本件は、お父様の相続が終わらないうちにお母様も亡くなった数次相続(前の相続の手続が済まないうちに、次の相続が重なって発生した状態)でした。そこで当事務所は、お父様の遺産とお母様の遺産について、それぞれ別個に調停を申し立て、権利関係を一度に整理できる形に組み立て直しました。

③ 介護の実績を、記憶ではなく客観資料で裏づけた

お母様の介護を続けてこられていたことは、寄与分(相続人が被相続人の療養看護などに特別に尽くした場合に、その貢献分を相続分に上乗せして評価する制度)として認められる可能性があります。ただ、寄与分は「よく面倒を見た」という説明だけでは認められにくく、客観的な裏づけが要になります。

そこで当事務所は、自治体に対してお母様の要介護認定に関する資料一式の開示を申し出て、認定調査票・主治医意見書・認定結果通知書を取得しました。
医療記録も併せて整理し、お母様がどの時期にどの程度の介護を必要とする状態であったか、そしてその介護を誰が担っていたかを、第三者の作成した資料で示せる状態にしたうえで申立てに臨みました。


💡 解決結果

調停の申立てをきっかけに、それまで連絡の取れなかったお兄様との間で協議が動き出し、期日を重ねる前に合意が成立しました。

お母様の遺産である約500万円の預金については、山田さんが単独で取得し、お兄様に支払う代償金(不動産や預金などを単独で取得する代わりに、他の相続人へ支払う清算金)は約50万円にとどまりました。法定相続分どおりに分けた場合の取得額が約250万円であったことと比べると、約200万円を寄与分として確保できたことになります。

お兄様への代償金の支払いも完了し、預金の払戻手続まで終えたうえで、調停は取り下げて事件を終了しました。


💬 弁護士からのアドバイス

相続人の一人と連絡が取れないとき、「相手が応じないのだから、どうにもならない」と諦めて放置されてしまうケースが少なくありません。

しかし、遺産分割は相続人全員の合意がなければ進まない一方で、合意ができないときのために調停・審判という手続が用意されています。連絡が取れないことは、手続を止める理由にはなりません。 むしろ、裁判所を通じて正式に呼び出したことがきっかけで相手が動き出し、結果的に話し合いで解決する、という展開は決して珍しくありません。

また、介護の貢献を主張したいのであれば、早い段階で資料を押さえておくことが重要です。介護に関する記録は、ご家族の手元ではなく、自治体や医療機関・介護事業者の側に残っていることが多く、これらは適切な手続を踏めば取り寄せることができます。「自分がどれだけ大変だったか」を伝える言葉よりも、第三者が作成した記録のほうが、はるかに強い説得力を持ちます。

そして見落とされやすいのが、前の世代の相続が終わっていないケースです。親名義だと思っていた不動産が、実は祖父母の名義のままだったということは頻繁にあります。手続を始める前に、必ず登記を確認しておくことをお勧めします。


📞 このような方はぜひご相談ください

  • 相続人の中に、長年音信不通になっている方がいて遺産分割が進められない
  • 亡くなった親の介護を自分だけが担ってきたので、その分を相続で評価してほしい
  • 実家が空き家のまま残っていて、誰がどう処分するのか決まらない
  • 親の相続の手続をしないうちに、もう一方の親も亡くなってしまった

当事務所では、相続に関する初回のご相談は無料となっております。
相続でお悩みの方は、今すぐご相談ください。

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